障害者雇用の業務切り出し

人事担当者のための 棚卸しデータ集計の切り出し|物流・在庫管理事務から在宅の1人へ

このページは、物流・在庫管理事務の「棚卸しデータ集計」を在宅の1人に任せられないかを考えている人事担当者のためのページです。

忙しい時期の集計ほど、切り出す効果が大きい

障害者雇用の枠はあるのに、応募が来ない、任せる仕事が見当たらない、在宅という働き方も検討したことがない。そんな状態のまま、枠だけが残っていないでしょうか。同じような言葉が、公的な資料にも残っています。

「障害者雇用の最大の課題は「頼む仕事がない」」
(厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口」の公開ページより)

任せる仕事は、遠くにある新しい業務ではなく、すでに社内の誰かが担っている作業の中から見つかる場合があります。物流・在庫管理事務にある「集計する」という作業も、その1つです。

棚卸しのたびに集中する集計、入力の精度は保てていますか

下の場面は、よくある形をまとめたたとえです。特定の会社の話ではありません。

物流・在庫管理事務|棚卸しのたびに集中する集計作業を、在宅の1人が引き取る

棚卸しのたびに、現場が数えた在庫の数字を在庫管理の担当者が表計算ソフトに入力してまとめていますが、通常の在庫業務と重なる時期でもあり、入力の途中で転記を間違えることもあります。転記の誤りに気づかないまま報告してしまうと、あとで数字が合わない原因を探し直す手間が発生します。現場から届く用紙の数も多く、一人で入力していると同じ商品の数字を見落としてしまう場面もあります。棚卸しデータの集計だけを在宅の1人に切り出すと、担当者は現場からの数字の確認や差異が出た商品への対応といった判断の仕事に時間を使えるようになり、集計の精度も安定しやすくなります。扱う内容は在庫数などの業務データが中心で機密度は低く、最初に任せる1件として向いています。

先ほどの場面にあるとおり、現場からの数字の確認や差異への対応は在庫管理の担当者が担っている本来の仕事です。数字を表計算ソフトにまとめる集計作業は、その確認業務とは別の動きにあたります。同じ人が両方を担っているあいだ、集計作業は確認業務に押し出され続けます。

複数倉庫をまたぐ集計も、同じ構図です

物流・在庫管理事務|複数倉庫から届く棚卸しデータの集計を、在宅の1人が引き取る

複数の倉庫を掛け持ちしている担当者は、棚卸しの時期になると各倉庫から届く数字を1人でまとめており、倉庫の数が多い分だけ集計にかかる手間も増えます。他の倉庫の在庫業務も並行して見ているため、集計が終わるまで他の判断が後回しになることもあります。倉庫ごとに数字の届く順番もばらばらで、最後の一件がそろうまで全体の集計を確定できずにいます。届いた数字を並べ直す作業だけでも手間がかかり、肝心の差異の確認にまで手が回らないこともあります。棚卸しデータの集計を在宅の1人に任せると、担当者は倉庫ごとの在庫状況の確認に時間を戻すことができ、集計そのものは倉庫の数が増えても対応しやすくなります。扱うのは在庫数といった業務データが中心で機密度は低く、まず任せてみるのに向いた業務です。

倉庫の数が違っても、構図は同じです。在庫状況の確認という本来の仕事を担う人が集計も兼ねているあいだ、倉庫の数が多いほど集計の負担は大きくなっていきます。

切り出せるのは「集計する」という1つの動きです

棚卸しデータ集計という作業を分解すると、必要なのは表計算(Excel)の基本操作です。扱う内容は在庫数といった業務データが中心のため、機密度は低に分類されています。差異の確認や在庫の判断は担当者の手元に残したまま、表計算・メールなど一般的な道具につないで集計するという動きだけを在宅の1人に渡す形です。

表計算の基本操作を教えている訓練は、すでにあります

在宅の訓練をしている就労移行支援事業所7件の公開ページを確認したところ、表計算(Excel)の基本操作を教えるメニューは2事業所にあり、うち1事業所は在宅で受けられると明記されていました。メニュー名には、Excel、Excelの基礎・応用といった名前が並んでいます。教えているのは表計算の基本操作であり、棚卸しデータ集計そのものを教えているわけではありません。この作業は障害者向けを含む求人サイト7件(ハローワークインターネットサービスを含む)の職種カテゴリにも出てきません。高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書は、職務をつくる方法の1つとして、職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する「切り出し・再構成モデル」を挙げています。棚卸しデータ集計は、この型に当てはまる作業です。

物流・在庫管理事務にはこの後に任せられる作業も並んでいます

物流・在庫管理事務という部署には、棚卸しデータ集計のほかにも、受注・出荷データ入力、在庫一覧、配送番号登録、欠品・遅延一覧、返品データ入力、倉庫報告の集計など、機密度が低く訓練メニューにも挙がっている作業が並んでいます。発送状況確認や商品コード照合は機密度が低い一方、今回確認した7事業所の訓練メニューには載っていませんでした。納品予定日管理は要るスキルが会社によって違うため、今回は訓練の有無を判定していません。作業によって訓練の有無は違い、同じように切り出せるとは限りません。なお、「集計する」という同じ動きの作業は、部署をまたいで24あり、KPI管理表、アンケートの集計、倉庫報告の集計なども同じ動きに数えられます。

次にできること

このサイトの計算表(/keisan.html)では、任せたい作業に印を付け、1回あたりの分数と回数を自社の数字で入れると、1週間の合計時間が出ます。障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口という、全国の採用担当者を対象にした厚生労働省の委託事業もあります。業務の選定から定着までの相談が最大5回、オーダーメイドの形で無料で受けられ、申し込みはフォームか電話、相談は対面(訪問)かオンラインで行われています。

棚卸しデータ集計のデータ

部署物流・在庫管理事務
動き集計する
機密度低
要るスキル表計算(Excel)の基本操作
訓練にあるか⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
つながった訓練メニュー表計算(Excel)の基本操作←Excel/表計算(Excel)の基本操作←Excelの基礎・応用
在宅の札出社の条件なし
在宅の条件—
在宅からつなぐ物表計算・メールなど一般的な道具
見る範囲—
求人サイトでの出現7サイトの職種カテゴリに無い(求人サイトは職種の粒で、作業の粒では分類していない)

同じ物流・在庫管理事務にある、ほかの作業

作業動き機密度訓練にあるか
受注・出荷データ入力受け取る・入力する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
在庫一覧集計する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
発送状況確認照合する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
配送番号登録入力する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
納品予定日管理整える低❓要るスキルがまだ決まっていない
欠品・遅延一覧照合する低⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
返品データ入力入力する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
倉庫報告の集計集計する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
商品コード照合照合する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い

物流・在庫管理事務の作業をすべて見る

棚卸しデータ集計に印を付けて、週の合計時間を数える

公的な相談先

このサイトは一覧を並べるだけで、制度の可否は判断しません。実際に進めるときは、下の公的な窓口で確認してください。

窓口対象できること申込の形
障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け・厚生労働省の委託事業)
twp.mhlw.go.jp
全国の採用担当者業務の選定から定着までの相談。最大5回のオーダーメイド支援。無料申込フォームまたは電話。相談は対面(相談員が訪問)かオンライン
地域障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構)
jeed.go.jp/location/chiiki/
事業主障害者の雇用管理に関する相談・援助。大阪障害者職業センターは「サポートはすべて無料」と明記最寄りのセンターに問い合わせ
ハローワーク事業主職務内容の検討の助言。高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き「職務内容の選定」が相談先に挙げている窓口で相談
高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センターは、職務をつくる方法を3つのモデルで整理しています(調査研究報告書No.133・2017年3月)=切り出し・再構成モデル(職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する)、積み上げモデル(限定的な職務から始めて、時間をかけて幅を広げる)、特化モデル(得意な分野に専念できるようにする)。このサイトの一覧は1つめのモデルの材料です。

出典と調べた日

求人サイト7件と就労移行支援事業所7件の公開ページ(2026-09-19に確認・名前とURLはこのサイトについて)/職務をつくる3つのモデル=障害者職業総合センター調査研究報告書No.133(2026-09-21に確認)/相談先=各窓口の公開ページ(2026-09-21に確認)。

「—」や「訓練に無い」は、調べた公開ページに書かれていなかったという意味で、教えていない・その作業が無いという意味ではありません。

困りごとの原文=厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口」(公開ページ)(2026-09-21に確認)。