障害者雇用の業務切り出し

人事担当者のための データ入力の切り出し|全部署共通から在宅の1人へ

このページは、全部署共通の「データ入力」を在宅の1人に任せられないかを考えている人事担当者のためのページです。

新しい業務ではなく、すでにある作業から任せる

応募が来ない、任せる仕事が見当たらない、在宅という働き方も検討したことがない。障害者雇用の枠があと1人分空いたまま、そんな状態が続いていないでしょうか。同じような言葉が、公的な資料にも残っています。

「障害者雇用の最大の課題は「頼む仕事がない」」
(厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口」の公開ページより)

任せる仕事は、遠くにある新しい業務ではなく、すでに社内の誰かが担っている作業の中から見つかる場合があります。経理や営業事務にある「入力する」という作業も、その1つです。

月末に集中する入力作業、誰が引き受けていますか

下の場面は、よくある形をまとめたたとえです。特定の会社の話ではありません。

全部署共通|月末に集中する請求書の入力を、在宅の1人が引き取る

経理の担当者は、取引先から届く請求書の内容を会計ソフトに一件ずつ入力する作業を、支払いの確認や仕訳の判断といった本来の仕事の合間に行っています。月末は届く請求書がまとまって増え、入力作業だけで机が埋まってしまい、支払期日の管理にまで手が回らなくなることがあります。入力が遅れると、支払いそのものが期日ぎりぎりになり、確認の時間も削られてしまいます。担当者としては金額や勘定科目の判断を優先したいものの、その前段階の入力に時間を取られているのが実情です。請求書の入力だけを在宅の1人に切り出すと、経理担当者は支払いの確認や仕訳の判断に集中でき、月末の入力の山も崩れにくくなります。入力する内容は文字入力・データ入力の基本操作が中心で、扱う情報が軽いため機密度は低く、最初の1件として任せやすい業務です。

先ほどの場面にあるとおり、支払いや資金繰りに関わる判断は経理担当者が担っている仕事です。請求書の内容をシステムへ入力する作業は、その判断業務とは別の動きにあたります。同じ人が両方を担っているあいだ、入力作業は判断業務に押し出され続けます。

受注が重なる時期の伝票入力も、同じ構図です

全部署共通|受注が重なる時期の伝票入力を、在宅の1人が引き取る

営業事務の担当者は、電話やメールで受けた注文の内容を、見積もりの作成や顧客対応の合間に販売管理システムへ入力しています。注文が重なる時期は入力する伝票の数が増え、確認の連絡や見積もりの作成にまで手が回らなくなることがあります。入力が後回しになると、出荷の指示が遅れて顧客への納品が延びてしまうこともあります。担当者は顧客とのやり取りを優先したい一方で、入力そのものに追われて本来の対応が後手に回りがちです。伝票の入力だけを在宅の1人に切り出すと、営業事務の担当者は顧客対応や見積もりの作成に集中でき、注文が重なる時期でも入力の遅れが起きにくくなります。入力する内容は品目や数量といった業務データが中心で機密度は低く、最初に任せる1件として向いています。

部署が違っても、構図は同じです。判断業務を担う人が、入力という動きも兼ねているあいだ、注文が重なる時期ほど入力の遅れは大きくなっていきます。

切り出せるのは「入力する」という1つの動きです

データ入力という作業を分解すると、必要なのは「入力する」という動きと、文字入力・データ入力という基本のスキルです。扱う内容は請求や受注に関する業務データが中心のため、機密度は低に分類されています。金額や仕訳の判断は担当者の手元に残したまま、入力という動きだけを在宅の1人に渡す形です。

文字入力・データ入力を教えている訓練は、すでにあります

在宅の訓練をしている就労移行支援事業所7件の公開ページを確認したところ、文字入力・データ入力のスキルを教えるメニューは3事業所にあり、うち1事業所は在宅で受けられると明記されていました。メニュー名には、タイピング甲子園、パソコン入力作業訓練、個別学習(タイピング)、実務トレーニング(データ入力など)といった名前が並んでいます。教えているのは文字入力・データ入力というスキルであり、データ入力という作業そのものを教えているわけではありません。この作業は障害者向けを含む求人サイト7件(ハローワークインターネットサービスを含む)の職種カテゴリにも出てきません。求人サイトは職種という大きな粒で分類しているため、「データ入力」のような1つの作業の粒までは分類されていないのです。高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書は、職務をつくる方法の1つとして、職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する「切り出し・再構成モデル」を挙げています。データ入力は、この型に当てはまる作業です。

全部署共通にはこの後に任せられる作業も並んでいます

全部署共通という括りには、データ入力のほかにも、メール・フォームの受付と分類、二つの資料の照合、入力漏れ・誤字脱字の確認、Excel一覧の更新、数値の集計、定型メールの送信、マニュアルへの転記、Webからの情報収集、定例レポートの作成など、機密度が低く訓練メニューにも挙がっている作業が並んでいます。一方で、ファイル名の統一、フォルダへの保存、日程調整、期限前のリマインド、議事録・文字起こし、書類のPDF化・データ化は、今回確認した7事業所の訓練メニューには載っていませんでした(載っていない、という意味であり、教えていないという意味ではありません)。なお、「入力する」という同じ動きの作業は、部署をまたいで46あり、CMS入稿、Web・ブログの記事登録、キャンペーン登録なども同じ動きに数えられます。

次にできること

このサイトの計算表(/keisan.html)では、任せたい作業に印を付け、1回あたりの分数と回数を自社の数字で入れると、1週間の合計時間が出ます。障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口という、全国の採用担当者を対象にした厚生労働省の委託事業もあります。業務の選定から定着までの相談が最大5回、オーダーメイドの形で無料で受けられ、申し込みはフォームか電話、相談は対面(訪問)かオンラインで行われています。

データ入力のデータ

部署全部署共通
動き入力する
機密度低
要るスキル文字入力・データ入力
訓練にあるか⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
つながった訓練メニュー文字入力・データ入力←タイピング甲子園/文字入力・データ入力←パソコン入力作業訓練/文字入力・データ入力←個別学習(タイピング)/文字入力・データ入力←実務トレーニング(データ入力など)
在宅の札出社の条件なし
在宅の条件—
在宅からつなぐ物会計ソフト
見る範囲—
求人サイトでの出現7サイトの職種カテゴリに無い(求人サイトは職種の粒で、作業の粒では分類していない)

同じ全部署共通にある、ほかの作業

作業動き機密度訓練にあるか
メール・フォームの受付と分類受け取る低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 2事業所)
二つの資料の照合照合する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
入力漏れ・誤字脱字の確認入力する・照合する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
Excel一覧の更新整える低⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
数値の集計集計する低⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
ファイル名の統一整える低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
フォルダへの保存整える低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
定型メールの送信連絡する低⭕スキルが訓練に有る=1/7事業所(うち在宅可と明記 0事業所)
日程調整期限を管理する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
期限前のリマインド期限を管理する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
議事録・文字起こし記録する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
書類のPDF化・データ化入力する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
マニュアルへの転記入力する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
Webからの情報収集調べる低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
定例レポートの作成集計する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)

全部署共通の作業をすべて見る

データ入力に印を付けて、週の合計時間を数える

公的な相談先

このサイトは一覧を並べるだけで、制度の可否は判断しません。実際に進めるときは、下の公的な窓口で確認してください。

窓口対象できること申込の形
障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け・厚生労働省の委託事業)
twp.mhlw.go.jp
全国の採用担当者業務の選定から定着までの相談。最大5回のオーダーメイド支援。無料申込フォームまたは電話。相談は対面(相談員が訪問)かオンライン
地域障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構)
jeed.go.jp/location/chiiki/
事業主障害者の雇用管理に関する相談・援助。大阪障害者職業センターは「サポートはすべて無料」と明記最寄りのセンターに問い合わせ
ハローワーク事業主職務内容の検討の助言。高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き「職務内容の選定」が相談先に挙げている窓口で相談
高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センターは、職務をつくる方法を3つのモデルで整理しています(調査研究報告書No.133・2017年3月)=切り出し・再構成モデル(職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する)、積み上げモデル(限定的な職務から始めて、時間をかけて幅を広げる)、特化モデル(得意な分野に専念できるようにする)。このサイトの一覧は1つめのモデルの材料です。

出典と調べた日

求人サイト7件と就労移行支援事業所7件の公開ページ(2026-09-19に確認・名前とURLはこのサイトについて)/職務をつくる3つのモデル=障害者職業総合センター調査研究報告書No.133(2026-09-21に確認)/相談先=各窓口の公開ページ(2026-09-21に確認)。

「—」や「訓練に無い」は、調べた公開ページに書かれていなかったという意味で、教えていない・その作業が無いという意味ではありません。

困りごとの原文=厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口」(公開ページ)(2026-09-21に確認)。