障害者雇用の業務切り出し

人事担当者のための マニュアルへの転記の切り出し|全部署共通から在宅の1人へ

このページは、全部署共通の「マニュアルへの転記」を在宅の1人に任せられないかを考えている人事担当者のためのページです。

どんな仕事・勤務形態で働いてもらうか、書類の更新から考える

障害者雇用の枠はあるのに、応募が来ない、任せる仕事が見当たらない、在宅という働き方も検討したことがない。そんな状態のまま、枠だけが残っていないでしょうか。同じような言葉が、公的な資料にも残っています。

「まずは、障害者にどのような仕事・勤務形態で働いてもらうかを検討した。」
(高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用事例リファレンスサービス」の公開ページより)

検討の手がかりは、古くなったマニュアルの中にもあります。総務や人事にある「入力する」という作業も、その1つです。

紙の手順書、マニュアルへの反映は滞っていませんか

下の場面は、よくある形をまとめたたとえです。特定の会社の話ではありません。

全部署共通|紙の手順書をマニュアルへ転記する作業を、在宅の1人が引き取る

総務の担当者は、現場から届く紙のメモや古い手順書をもとに、社内で使うマニュアルへ内容を入力し直す作業を、他の手続きの合間に行っています。手続きが立て込む時期は転記が後回しになり、更新の必要なマニュアルが古いまま置かれてしまうことがあります。更新が遅れると、マニュアルを見た社員が古い手順のまま作業してしまう心配も出てきます。担当者としても手続きの判断業務を優先せざるを得ず、転記のような入力作業にまとまった時間を取りにくいのが実情です。マニュアルへの転記だけを在宅の1人に切り出すと、総務担当者は本来の手続き業務に集中でき、マニュアルも実態に合わせて整えられていきます。必要なのは文字入力・データ入力の基本操作で、扱う内容は業務手順の記載が中心のため機密度は低く、最初の1件として任せやすい業務です。

先ほどの場面にあるとおり、手続きの判断は総務担当者が担っている本来の仕事です。現場のメモをマニュアルへ入力し直す作業は、その判断業務とは別の動きにあたります。同じ人が両方を担っているあいだ、転記は判断業務に押し出され続けます。

研修資料の反映も、同じ構図です

全部署共通|研修資料の内容をマニュアルへ転記する作業を、在宅の1人が引き取る

人事の担当者は、外部の研修で使われた資料や講師のメモをもとに、社内向けのマニュアルへ内容を入力し直す作業を、採用や面談の合間に行っています。研修が続く時期は転記する資料が重なり、採用の対応に追われて後回しになることがあります。転記が滞ると、新しく入った社員が最新のマニュアルを見られないまま研修を受けることにもなりかねません。担当者としても採用や面談の判断業務を優先したいところですが、転記のような入力作業にも時間を取られています。マニュアルへの転記という作業だけを在宅の1人に任せると、人事の担当者は採用や面談に集中でき、マニュアルの更新も滞りにくくなります。必要なのは文字入力・データ入力の基本操作で、扱う内容は研修資料の記載が中心のため機密度は低く、切り出しの入り口として試しやすい業務です。

部署が違っても、構図は同じです。採用や面談という本来の仕事を担う人が転記も兼ねているあいだ、研修が続く時期ほど反映は後回しにされていきます。

切り出せるのは「入力する」という1つの動きです

マニュアルへの転記という作業を分解すると、必要なのは文字入力・データ入力の基本操作です。扱う内容は業務手順や研修資料の記載が中心のため、機密度は低に分類されています。手続きや採用の判断は担当者の手元に残したまま、転記するという動きだけを在宅の1人に渡せます。この作業は「条件つきで在宅」の札で、紙のメモを画像やスキャンで渡す用意があることが条件です。

文字入力・データ入力を教えている訓練は、すでにあります

在宅の訓練をしている就労移行支援事業所7件の公開ページを確認したところ、文字入力・データ入力のスキルを教えるメニューは3事業所にあり、うち1事業所は在宅で受けられると明記されていました。メニュー名には、タイピング甲子園、パソコン入力作業訓練、個別学習(タイピング)、実務トレーニング(データ入力など)といった名前が並んでいます。教えているのは文字入力・データ入力というスキルであり、マニュアルへの転記そのものを教えているわけではありません。この作業は障害者向けを含む求人サイト7件(ハローワークインターネットサービスを含む)の職種カテゴリにも出てきません。高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書は、職務をつくる方法の1つとして、職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する「切り出し・再構成モデル」を挙げています。マニュアルへの転記は、この型に当てはまる作業です。

全部署共通にはこの後に任せられる作業も並んでいます

全部署共通という括りには、マニュアルへの転記のほかにも、メール・フォームの受付と分類、データ入力、二つの資料の照合、Excel一覧の更新、数値の集計、定型メールの送信、Webからの情報収集、定例レポートの作成など、機密度が低く訓練メニューにも挙がっている作業が並んでいます。一方で、ファイル名の統一、フォルダへの保存、日程調整、期限前のリマインド、議事録・文字起こし、書類のPDF化・データ化は、今回確認した7事業所の訓練メニューには載っていませんでした(載っていない、という意味であり、教えていないという意味ではありません)。なお、「入力する」という同じ動きの作業は、部署をまたいで46あり、CMS入稿、スキャンとPDF化、仕訳の補助入力なども同じ動きに数えられます。

次にできること

このサイトの計算表(/keisan.html)では、任せたい作業に印を付け、1回あたりの分数と回数を自社の数字で入れると、1週間の合計時間が出ます。障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口という、全国の採用担当者を対象にした厚生労働省の委託事業もあります。業務の選定から定着までの相談が最大5回、オーダーメイドの形で無料で受けられ、申し込みはフォームか電話、相談は対面(訪問)かオンラインで行われています。

マニュアルへの転記のデータ

部署全部署共通
動き入力する
機密度低
要るスキル文字入力・データ入力
訓練にあるか⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
つながった訓練メニュー文字入力・データ入力←タイピング甲子園/文字入力・データ入力←パソコン入力作業訓練/文字入力・データ入力←個別学習(タイピング)/文字入力・データ入力←実務トレーニング(データ入力など)
在宅の札条件つきで在宅
在宅の条件紙のメモの受け渡し(画像・スキャン)
在宅からつなぐ物表計算・メールなど一般的な道具
見る範囲—
求人サイトでの出現7サイトの職種カテゴリに無い(求人サイトは職種の粒で、作業の粒では分類していない)

同じ全部署共通にある、ほかの作業

作業動き機密度訓練にあるか
メール・フォームの受付と分類受け取る低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 2事業所)
データ入力入力する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
二つの資料の照合照合する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
入力漏れ・誤字脱字の確認入力する・照合する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
Excel一覧の更新整える低⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
数値の集計集計する低⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
ファイル名の統一整える低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
フォルダへの保存整える低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
定型メールの送信連絡する低⭕スキルが訓練に有る=1/7事業所(うち在宅可と明記 0事業所)
日程調整期限を管理する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
期限前のリマインド期限を管理する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
議事録・文字起こし記録する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
書類のPDF化・データ化入力する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
Webからの情報収集調べる低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
定例レポートの作成集計する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)

全部署共通の作業をすべて見る

マニュアルへの転記に印を付けて、週の合計時間を数える

公的な相談先

このサイトは一覧を並べるだけで、制度の可否は判断しません。実際に進めるときは、下の公的な窓口で確認してください。

窓口対象できること申込の形
障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け・厚生労働省の委託事業)
twp.mhlw.go.jp
全国の採用担当者業務の選定から定着までの相談。最大5回のオーダーメイド支援。無料申込フォームまたは電話。相談は対面(相談員が訪問)かオンライン
地域障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構)
jeed.go.jp/location/chiiki/
事業主障害者の雇用管理に関する相談・援助。大阪障害者職業センターは「サポートはすべて無料」と明記最寄りのセンターに問い合わせ
ハローワーク事業主職務内容の検討の助言。高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き「職務内容の選定」が相談先に挙げている窓口で相談
高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センターは、職務をつくる方法を3つのモデルで整理しています(調査研究報告書No.133・2017年3月)=切り出し・再構成モデル(職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する)、積み上げモデル(限定的な職務から始めて、時間をかけて幅を広げる)、特化モデル(得意な分野に専念できるようにする)。このサイトの一覧は1つめのモデルの材料です。

出典と調べた日

求人サイト7件と就労移行支援事業所7件の公開ページ(2026-09-19に確認・名前とURLはこのサイトについて)/職務をつくる3つのモデル=障害者職業総合センター調査研究報告書No.133(2026-09-21に確認)/相談先=各窓口の公開ページ(2026-09-21に確認)。

「—」や「訓練に無い」は、調べた公開ページに書かれていなかったという意味で、教えていない・その作業が無いという意味ではありません。

困りごとの原文=高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用事例リファレンスサービス」(公開ページ)(2026-09-21に確認)。