人事担当者のための 健康診断の対象者リストの切り出し|労務・勤怠事務から在宅の1人へ
このページは、労務・勤怠事務の「健康診断の対象者リスト」を在宅の1人に任せられないかを考えている人事担当者のためのページです。
社内の支援体制は、どのようにしたらよいか
障害者雇用の枠はあるのに、応募が来ない、任せる仕事が見当たらない、在宅という働き方も検討したことがない。そんな状態のまま、枠だけが残っていないでしょうか。公的なQ&Aには、こんな言葉が並んでいます。
「障害者雇用に関する社内の支援体制はどのようにしたらよいでしょうか?」
(高齢・障害・求職者雇用支援機構「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」の公開ページより)
支援体制の整備は、名簿を整える作業からも始められます。労務・勤怠事務にある「整える」という作業も、その1つです。
健康診断の実施が重なる時期、対象者リストの整理は追いついていますか
労務・勤怠事務|健康診断の実施が重なる時期の健康診断の対象者リストの整理を、在宅の1人が引き取る
労務・勤怠事務の担当者は、健康診断の対象者を洗い出してリストにまとめる作業を、従業員からの労務相談や例外対応の判断といった判断業務の合間に行っています。健康診断の実施が重なる時期は整理する件数が増え、判断業務に追われて対象者リストの整理が後回しになることがあります。整理が遅れると、案内が遅れ、受診の予約に間に合わなくなる従業員が出ることがあります。担当者としても労務相談や例外対応の判断を優先したいところですが、対象者リストの整理にも一定の時間を取られています。整理だけを在宅の1人に切り出すと、労務・勤怠事務の担当者は労務相談や例外対応の判断に集中でき、早くなります。必要なのは特別な資格よりも名簿を丁寧に整える力で、扱う内容には健康診断の受診対象といった健康情報が含まれるため、最初の1件には向きません。社内の権限設計とアクセス制限を整えたうえで、範囲を限って切り出す作業です。
先ほどの場面にあるとおり、労務相談や例外対応の判断は労務・勤怠事務の担当者が担っている判断業務です。健康診断の対象者を洗い出してリストにまとめる作業は、その判断業務とは別の動きにあたります。同じ人が両方を担っているあいだ、対象者リストの整理は判断業務に押し出され続けます。
複数部署分の整理も、同じ構図です
労務・勤怠事務|複数部署分の健康診断の対象者リストの整理を、在宅の1人が引き取る
複数の部署の対象者をまとめてリスト化している労務・勤怠事務の担当者は、部署ごとに受診の条件が違う中で対応しており、部署の数が多い分だけ整理する件数も増えていきます。労務相談や例外対応の判断と重なると整理が後回しになり、部署によって条件の確認がそろわないまま進めてしまうこともあります。確認がそろわないと、条件を見落とし、案内が漏れる従業員が出てしまうこともあります。部署が増えるほど、対象者リストの整理が重くなっていきます。対象者リストの整理をまとめて在宅の1人に任せると、労務・勤怠事務の担当者は労務相談や例外対応の判断に専念でき、リストも部署をまたいで整った精度でそろいます。必要なのは特別な資格よりも名簿を丁寧に整える力で、扱う内容には健康診断の受診対象といった健康情報が含まれるため、最初の1件には向きません。社内の権限設計とアクセス制限を整えたうえで、対象をさらに絞って切り出す作業です。
部署が違っても、構図は同じです。労務相談や例外対応の判断という本来の仕事を担う人が整理も兼ねているあいだ、部署が増えるほど条件の確認はそろいにくくなります。
切り出せるのは「整える」という1つの動きです
健康診断の対象者リストの整理という作業を分解すると、特別な資格よりも名簿を丁寧に整える力が基準になります。見る範囲は健康診断の受診対象という健康に関わる情報にあたるため、機密度は高に分類されています。労務相談や例外対応の判断と承認は社内の担当者に残したまま、整理するという動きだけを在宅の1人に切り出す形です。最初の1件というよりは、社内の権限設計とアクセス制限を整えたうえで、範囲を限って任せる作業ではないでしょうか。在宅からは、表計算やメールといった一般的な道具を使ってこの作業に関わる形になります。
訓練メニューには載っていません。それでも切り出せる理由
健康診断の対象者リストの整理で要るスキルは、リストにまとめる項目が会社によって違うため、今回は判定していません。会社ごとに違う、という意味であり、誰にもできないという意味ではありません。労務・勤怠事務という部署名は、障害者向けを含む求人サイト7件(ハローワークインターネットサービスを含む)のうち1件の職種カテゴリと一致します。ただし「健康診断の対象者リスト」という作業名まで一致しているわけではありません。高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書は、職務をつくる方法の1つとして、職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する「切り出し・再構成モデル」を挙げています。健康診断の対象者リストの整理は、この型に当てはまる作業です。
労務・勤怠事務にはこの後に任せられる作業も並んでいます
労務・勤怠事務という部署には、健康診断の対象者リストのほかにも、勤怠データの集計、残業時間一覧、有給休暇台帳など、機密度が中でも訓練メニューにはある作業が並んでいます。打刻漏れの確認は機密度が中で、今回確認した7事業所の訓練メニューには載っていませんでした(載っていない、という意味であり、教えていないという意味ではありません)。従業員名簿や入退社情報は機密度が中で要るスキルが会社によって違うため、今回は訓練の有無を判定していません。社会保険手続き用データの準備や給与計算前のデータ確認も、見る範囲に社会保険や給与といった機微な情報を含む点は健康診断の対象者リストと同じで、最初の1件には向きません。なお、「整える」という同じ動きの作業は、部署をまたいで62あり、Excel一覧の更新、FAQの更新なども同じ動きに数えられます。
次にできること
このサイトの計算表(/keisan.html)では、任せたい作業に印を付け、1回あたりの分数と回数を自社の数字で入れると、1週間の合計時間が出ます。障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口という、全国の採用担当者を対象にした厚生労働省の委託事業もあります。業務の選定から定着までの相談が最大5回、オーダーメイドの形で無料で受けられ、申し込みはフォームか電話、相談は対面(訪問)かオンラインで行われています。
健康診断の対象者リストのデータ
| 部署 | 労務・勤怠事務 |
|---|---|
| 動き | 整える |
| 機密度 | 高 |
| 要るスキル | 会社によって中身が違うため、このサイトでは1つに決めていません |
| 訓練にあるか | ❓要るスキルがまだ決まっていない |
| つながった訓練メニュー | — |
| 在宅の札 | 在宅作業可能 |
| 在宅の条件 | — |
| 在宅からつなぐ物 | 表計算・メールなど一般的な道具 |
| 見る範囲 | 健康(機密度 高) |
| 求人サイトでの出現 | 部署名が1/7サイトの職種カテゴリに一致(作業名は一致なし) |
同じ労務・勤怠事務にある、ほかの作業
| 作業 | 動き | 機密度 | 訓練にあるか |
|---|---|---|---|
| 勤怠データの集計 | 集計する | 中 | ⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所) |
| 打刻漏れの確認 | 照合する | 中 | ⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い |
| 残業時間一覧 | 集計する | 中 | ⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所) |
| 有給休暇台帳 | 記録する | 中 | ⭕スキルが訓練に有る=1/7事業所(うち在宅可と明記 0事業所) |
| 従業員名簿 | 整える | 中 | ❓要るスキルがまだ決まっていない |
| 入退社情報 | 記録する | 中 | ❓要るスキルがまだ決まっていない |
| 社会保険手続き用データの準備 | 整える | 高 | ❓要るスキルがまだ決まっていない |
| 給与計算前のデータ確認 | 照合する | 高 | ⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い |
公的な相談先
このサイトは一覧を並べるだけで、制度の可否は判断しません。実際に進めるときは、下の公的な窓口で確認してください。
| 窓口 | 対象 | できること | 申込の形 |
|---|---|---|---|
| 障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け・厚生労働省の委託事業) twp.mhlw.go.jp |
全国の採用担当者 | 業務の選定から定着までの相談。最大5回のオーダーメイド支援。無料 | 申込フォームまたは電話。相談は対面(相談員が訪問)かオンライン |
| 地域障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構) jeed.go.jp/location/chiiki/ |
事業主 | 障害者の雇用管理に関する相談・援助。大阪障害者職業センターは「サポートはすべて無料」と明記 | 最寄りのセンターに問い合わせ |
| ハローワーク | 事業主 | 職務内容の検討の助言。高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き「職務内容の選定」が相談先に挙げている | 窓口で相談 |
出典と調べた日
求人サイト7件と就労移行支援事業所7件の公開ページ(2026-09-19に確認・名前とURLはこのサイトについて)/職務をつくる3つのモデル=障害者職業総合センター調査研究報告書No.133(2026-09-21に確認)/相談先=各窓口の公開ページ(2026-09-21に確認)。
「—」や「訓練に無い」は、調べた公開ページに書かれていなかったという意味で、教えていない・その作業が無いという意味ではありません。
困りごとの原文=高齢・障害・求職者雇用支援機構「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」(公開ページ)(2026-09-21に確認)。