障害者雇用の業務切り出し

人事担当者のための 取引先マスターの更新の切り出し|経理補助から在宅の1人へ

このページは、経理補助の「取引先マスターの更新」を在宅の1人に任せられないかを考えている人事担当者のためのページです。

機密度を踏まえたうえで、任せ方を考える

障害者雇用の枠はあるのに、応募が来ない、任せる仕事が見当たらない、在宅という働き方も検討したことがない。そんな状態のまま、枠だけが残っていないでしょうか。同じような言葉が、公的な資料にも残っています。

「また、今後の障がい者雇用には更なる多様性などへの対応が求められることも考えると、担当業務の拡大・作業量の確保も重要と考えられ、具体的に検討していく必要があると考えている。」
(高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用事例リファレンスサービス」の公開ページより)

任せる仕事は、遠くにある新しい業務ではなく、すでに社内の誰かが担っている作業の中から見つかる場合があります。経理にある「整える」という作業も、その1つです。

取引先の変更が重なる時期、マスターの更新は追いついていますか

下の場面は、よくある形をまとめたたとえです。特定の会社の話ではありません。

経理補助|取引先の変更が重なる時期の取引先マスターの更新を、在宅の1人が引き取る

経理補助の担当者は、取引先の名称や口座情報を経理システムのマスターに反映する作業を、経理処理の例外対応や判断が必要な確認といった判断業務の合間に行っています。取引先の変更が重なる時期は反映する件数が増え、判断業務に追われてマスターの更新が後回しになることがあります。更新が遅れると、古い口座情報のまま支払いの手続きを進めてしまい、あとから訂正が必要になることがあります。担当者としても例外対応や判断が必要な確認を優先したいところですが、マスターの更新にも一定の時間を取られています。マスターの更新だけを在宅の1人に切り出すと、経理補助の担当者は経理処理の例外対応や判断が必要な確認に集中でき、更新の遅れも起きにくくなります。必要なのは台帳・管理表の更新の力で、扱う内容には取引先の名称や口座情報といった取引先情報が含まれるため、判断と承認は社内の担当者に残し、更新だけを在宅に切り出す形です。

先ほどの場面にあるとおり、経理処理の例外対応や判断が必要な確認は経理補助の担当者が担っている本来の仕事です。取引先マスターの更新は、その判断業務とは別の動きにあたります。同じ人が両方を担っているあいだ、更新という動きは判断業務に押し出され続けます。

複数部署分の更新も、同じ構図です

経理補助|複数部署分の取引先マスターの更新を、在宅の1人が引き取る

複数の部署から取引先の変更連絡が届く経理補助の担当者は、部署ごとに連絡のタイミングが違う中で対応しており、部署の数が多い分だけ更新する件数も増えていきます。例外対応や判断が必要な確認と重なると更新が後回しになり、部署によって更新の反映がそろわないまま進めてしまうこともあります。反映がそろわないと、部署ごとに違う口座情報を参照してしまい、支払いの確認をやり直すことになります。部署が増えるほど、取引先マスターの更新という作業が重くなっていきます。マスターの更新をまとめて在宅の1人に任せると、経理補助の担当者は経理処理の例外対応や判断が必要な確認に専念でき、更新も部署をまたいで整った状態でそろいます。必要なのは台帳・管理表の更新の力で、扱う内容には取引先の名称や口座情報といった取引先情報が含まれるため、判断と承認は社内の担当者に残し、更新だけを在宅にまとめて切り出す形です。

部署が違っても、構図は同じです。経理処理の例外対応や判断が必要な確認を担う人が更新も兼ねているあいだ、部署の数が多いほど反映はそろいにくくなります。

切り出せるのは「整える」という1つの動きです

取引先マスターの更新という作業を分解すると、必要なのは「整える」という動きと、台帳・管理表の更新という基本のスキルです。扱う内容には取引先の名称や口座情報が含まれるため、機密度は中に分類されています。判断と承認は社内の担当者に残したまま、更新という動きだけを在宅の1人に渡す形です。在宅からは、社内のシステムでつながる形です。

台帳・管理表の更新を教えている訓練は、すでにあります

在宅の訓練をしている就労移行支援事業所7件の公開ページを確認したところ、台帳・管理表の更新を教えるメニューは1事業所にあり、在宅で受けられると明記された事業所はありませんでした。メニュー名には、模擬就労(顧客データ管理、資料作成等の模擬業務グループワーク)、顧客データ管理(模擬業務)といった名前が並んでいます。教えているのは台帳・管理表の更新というスキルであり、取引先マスターの更新そのものを教えているわけではありません。この作業は、障害者向けを含む求人サイト7件(ハローワークインターネットサービスを含む)の職種カテゴリには出てきません。高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書は、職務をつくる方法の1つとして、職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する「切り出し・再構成モデル」を挙げています。取引先マスターの更新は、この型に当てはまる作業です。

経理補助にはこの後に任せられる作業も並んでいます

経理補助には、取引先マスターの更新のほかにも、請求書データの入力、経費データの入力、仕訳の補助入力、支払予定一覧の更新、月次資料の体裁を整える作業など、機密度が低く訓練メニューにも挙がっている作業が並んでいます。領収書のPDF化と経費精算の不備チェックは機密度は低いものの、今回確認した7事業所の訓練メニューには載っていませんでした。領収書のPDF化は出社が要る作業でもあります。請求書の発行と送付は、要るスキルが会社によって違うため訓練の有無を判定していません。入金消込は機密度が高く、取引先マスターの更新よりさらに扱う範囲を絞って考える作業です。作業によって機密度と訓練の有無は違い、同じように切り出せるとは限りません。なお、「整える」という同じ動きの作業は、部署をまたいで62あり、Excel一覧の更新、FAQの更新、KPI管理表なども同じ動きに数えられます。

次にできること

このサイトの計算表(/keisan.html)では、任せたい作業に印を付け、1回あたりの分数と回数を自社の数字で入れると、1週間の合計時間が出ます。障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口という、全国の採用担当者を対象にした厚生労働省の委託事業もあります。業務の選定から定着までの相談が最大5回、オーダーメイドの形で無料で受けられ、申し込みはフォームか電話、相談は対面(訪問)かオンラインで行われています。

取引先マスターの更新のデータ

部署経理補助
動き整える
機密度
要るスキル台帳・管理表の更新
訓練にあるか⭕スキルが訓練に有る=1/7事業所(うち在宅可と明記 0事業所)
つながった訓練メニュー台帳・管理表の更新←模擬就労(顧客データ管理、資料作成等の模擬業務グループワーク)/台帳・管理表の更新←顧客データ管理(模擬業務)
在宅の札在宅作業可能
在宅の条件
在宅からつなぐ物社内のシステム
見る範囲個人情報など(機密度 中)
求人サイトでの出現7サイトの職種カテゴリに無い(求人サイトは職種の粒で、作業の粒では分類していない)

同じ経理補助にある、ほかの作業

作業動き機密度訓練にあるか
請求書データの入力入力する⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
経費データの入力入力する⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
領収書のPDF化入力する⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
仕訳の補助入力入力する⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
支払予定一覧の更新整える・期限を管理する⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
請求書の発行と送付入力する❓要るスキルがまだ決まっていない
経費精算の不備チェック照合する⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
月次資料の体裁を整える整える⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
入金消込照合する❓要るスキルがまだ決まっていない

経理補助の作業をすべて見る

取引先マスターの更新に印を付けて、週の合計時間を数える

公的な相談先

このサイトは一覧を並べるだけで、制度の可否は判断しません。実際に進めるときは、下の公的な窓口で確認してください。

窓口対象できること申込の形
障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け・厚生労働省の委託事業)
twp.mhlw.go.jp
全国の採用担当者業務の選定から定着までの相談。最大5回のオーダーメイド支援。無料申込フォームまたは電話。相談は対面(相談員が訪問)かオンライン
地域障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構)
jeed.go.jp/location/chiiki/
事業主障害者の雇用管理に関する相談・援助。大阪障害者職業センターは「サポートはすべて無料」と明記最寄りのセンターに問い合わせ
ハローワーク事業主職務内容の検討の助言。高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き「職務内容の選定」が相談先に挙げている窓口で相談
高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センターは、職務をつくる方法を3つのモデルで整理しています(調査研究報告書No.133・2017年3月)=切り出し・再構成モデル(職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する)、積み上げモデル(限定的な職務から始めて、時間をかけて幅を広げる)、特化モデル(得意な分野に専念できるようにする)。このサイトの一覧は1つめのモデルの材料です。

出典と調べた日

求人サイト7件と就労移行支援事業所7件の公開ページ(2026-09-19に確認・名前とURLはこのサイトについて)/職務をつくる3つのモデル=障害者職業総合センター調査研究報告書No.133(2026-09-21に確認)/相談先=各窓口の公開ページ(2026-09-21に確認)。

「—」や「訓練に無い」は、調べた公開ページに書かれていなかったという意味で、教えていない・その作業が無いという意味ではありません。

困りごとの原文=高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用事例リファレンスサービス」(公開ページ)(2026-09-21に確認)。