障害者雇用の業務切り出し

人事担当者のための 定型メールの送信の切り出し|全部署共通から在宅の1人へ

このページは、全部署共通の「定型メールの送信」を在宅の1人に任せられないかを考えている人事担当者のためのページです。

事例を知る前に、社内の作業をひとつ数えてみないか

障害者雇用の枠はあるのに、応募が来ない、任せる仕事が見当たらない、在宅という働き方も検討したことがない。そんな状態のまま、枠だけが残っていないでしょうか。公的なQ&Aには、こんな言葉が並んでいます。

「障害者雇用のイメージを高めるため、実際の障害者雇用事例などを知りたいのですが、どうすればよいですか?」
(高齢・障害・求職者雇用支援機構「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」の公開ページより)

事例は他社だけにあるとは限りません。社内にある「連絡する」という作業も、切り出せる仕事の1つです。

社内向けのお知らせメール、送信は滞っていませんか

下の場面は、よくある形をまとめたたとえです。特定の会社の話ではありません。

全部署共通|社内向けのお知らせメール送信を、在宅の1人が引き取る

総務の担当者は、休暇の取得方法や社内設備の変更といったお知らせを、他の手続き業務の合間に文面へまとめて社内へ送っています。手続きが立て込む時期は送信そのものが後回しになり、伝えたい情報が社員に届くタイミングが遅れてしまうことがあります。届くのが遅れると、変更を知らないまま行動してしまう社員が出てくることもあります。担当者としても手続きの判断業務を優先したいところですが、定型的な連絡文の作成にも時間を取られています。定型メールの送信だけを在宅の1人に切り出すと、総務担当者は手続きの判断業務に集中でき、お知らせが届くタイミングも安定します。必要なのはビジネスメールの定型文で、送る内容は社内向けのお知らせが中心のため機密度は低く、最初の1件として任せやすい業務です。

先ほどの場面にあるとおり、手続きの判断は総務担当者が担っている本来の仕事です。お知らせを文面にまとめて送る作業は、その判断業務とは別の動きにあたります。同じ人が両方を担っているあいだ、送信作業は判断業務に押し出され続けます。

見積送付の案内メールも、同じ構図です

全部署共通|見積送付の定型メールを、在宅の1人が引き取る

営業事務の担当者は、作成した見積書を取引先にメールで送る際、案内の文面も自分で毎回書いており、見積もり作成そのものに追われる時期は送信が後回しになることがあります。送付が遅れると、取引先を待たせてしまい、他社の見積もりが先に検討されてしまう心配も出てきます。担当者は見積もりの内容そのものを優先せざるを得ず、送付にあたる案内文の作成は簡単な作業と分かっていても手が回りません。案内文の書き方も担当者によって少しずつ違い、そろっていないという声も聞かれます。定型メールの送信という作業だけを在宅の1人に任せると、営業事務の担当者は見積もりの作成に専念でき、送付の遅れも起きにくくなります。必要なのはビジネスメールの定型文で、送る内容は見積もりの案内が中心のため機密度は低く、切り出しの入り口として試しやすい業務です。

部署が違っても、構図は同じです。見積もり作成という本来の仕事を担う人が案内文の作成も兼ねているあいだ、作成が立て込む時期ほど送付は後回しにされていきます。

切り出せるのは「連絡する」という1つの動きです

定型メールの送信という作業を分解すると、必要なのはビジネスメールの定型文というスキルです。扱う内容は社内向けのお知らせや見積もりの案内が中心のため、機密度は低に分類されています。手続きや見積もりの判断は担当者の手元に残したまま、送信するという動きだけを在宅の1人に渡す形です。

ビジネスメールの定型文を教えている訓練は、すでにあります

在宅の訓練をしている就労移行支援事業所7件の公開ページを確認したところ、ビジネスメールの定型文を教えるメニューは1事業所にあり、在宅で受けられると明記された事業所はありませんでした。メニュー名は、ビジネスメールという名前です。教えているのはビジネスメールの定型文というスキルであり、定型メールの送信そのものを教えているわけではありません。この作業は障害者向けを含む求人サイト7件(ハローワークインターネットサービスを含む)の職種カテゴリにも出てきません。高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書は、職務をつくる方法の1つとして、職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する「切り出し・再構成モデル」を挙げています。定型メールの送信は、この型に当てはまる作業です。

全部署共通にはこの後に任せられる作業も並んでいます

全部署共通という括りには、定型メールの送信のほかにも、メール・フォームの受付と分類、データ入力、二つの資料の照合、Excel一覧の更新、数値の集計、マニュアルへの転記、Webからの情報収集、定例レポートの作成など、機密度が低く訓練メニューにも挙がっている作業が並んでいます。一方で、ファイル名の統一、フォルダへの保存、日程調整、期限前のリマインド、議事録・文字起こし、書類のPDF化・データ化は、今回確認した7事業所の訓練メニューには載っていませんでした(載っていない、という意味であり、教えていないという意味ではありません)。なお、「連絡する」という同じ動きの作業は、部署をまたいで17あり、ストレスチェックの案内、健康診断の案内と回収、内定者への定型連絡なども同じ動きに数えられます。

次にできること

このサイトの計算表(/keisan.html)では、任せたい作業に印を付け、1回あたりの分数と回数を自社の数字で入れると、1週間の合計時間が出ます。障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口という、全国の採用担当者を対象にした厚生労働省の委託事業もあります。業務の選定から定着までの相談が最大5回、オーダーメイドの形で無料で受けられ、申し込みはフォームか電話、相談は対面(訪問)かオンラインで行われています。

定型メールの送信のデータ

部署全部署共通
動き連絡する
機密度低
要るスキルビジネスメールの定型文
訓練にあるか⭕スキルが訓練に有る=1/7事業所(うち在宅可と明記 0事業所)
つながった訓練メニュービジネスメールの定型文←ビジネスメール
在宅の札出社の条件なし
在宅の条件—
在宅からつなぐ物表計算・メールなど一般的な道具
見る範囲—
求人サイトでの出現7サイトの職種カテゴリに無い(求人サイトは職種の粒で、作業の粒では分類していない)

同じ全部署共通にある、ほかの作業

作業動き機密度訓練にあるか
メール・フォームの受付と分類受け取る低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 2事業所)
データ入力入力する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
二つの資料の照合照合する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
入力漏れ・誤字脱字の確認入力する・照合する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
Excel一覧の更新整える低⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
数値の集計集計する低⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
ファイル名の統一整える低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
フォルダへの保存整える低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
日程調整期限を管理する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
期限前のリマインド期限を管理する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
議事録・文字起こし記録する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
書類のPDF化・データ化入力する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
マニュアルへの転記入力する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
Webからの情報収集調べる低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
定例レポートの作成集計する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)

全部署共通の作業をすべて見る

定型メールの送信に印を付けて、週の合計時間を数える

公的な相談先

このサイトは一覧を並べるだけで、制度の可否は判断しません。実際に進めるときは、下の公的な窓口で確認してください。

窓口対象できること申込の形
障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け・厚生労働省の委託事業)
twp.mhlw.go.jp
全国の採用担当者業務の選定から定着までの相談。最大5回のオーダーメイド支援。無料申込フォームまたは電話。相談は対面(相談員が訪問)かオンライン
地域障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構)
jeed.go.jp/location/chiiki/
事業主障害者の雇用管理に関する相談・援助。大阪障害者職業センターは「サポートはすべて無料」と明記最寄りのセンターに問い合わせ
ハローワーク事業主職務内容の検討の助言。高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き「職務内容の選定」が相談先に挙げている窓口で相談
高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センターは、職務をつくる方法を3つのモデルで整理しています(調査研究報告書No.133・2017年3月)=切り出し・再構成モデル(職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する)、積み上げモデル(限定的な職務から始めて、時間をかけて幅を広げる)、特化モデル(得意な分野に専念できるようにする)。このサイトの一覧は1つめのモデルの材料です。

出典と調べた日

求人サイト7件と就労移行支援事業所7件の公開ページ(2026-09-19に確認・名前とURLはこのサイトについて)/職務をつくる3つのモデル=障害者職業総合センター調査研究報告書No.133(2026-09-21に確認)/相談先=各窓口の公開ページ(2026-09-21に確認)。

「—」や「訓練に無い」は、調べた公開ページに書かれていなかったという意味で、教えていない・その作業が無いという意味ではありません。

困りごとの原文=高齢・障害・求職者雇用支援機構「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」(公開ページ)(2026-09-21に確認)。