障害者雇用の業務切り出し

人事担当者のための 書類のPDF化・データ化の切り出し|全部署共通から在宅の1人へ

このページは、全部署共通の「書類のPDF化・データ化」を在宅の1人に任せられないかを考えている人事担当者のためのページです。

職務内容の選定は、紙の書類を見直すところからでも始められる

障害者雇用の枠はあるのに、応募が来ない、任せる仕事が見当たらない、在宅という働き方も検討したことがない。そんな状態のまま、枠だけが残っていないでしょうか。公的なQ&Aには、こんな言葉が並んでいます。

「障害者が従事する職務内容は、どのようにして選定したらよいでしょうか?」
(高齢・障害・求職者雇用支援機構「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」の公開ページより)

選定の入り口は、紙の書類をデータにする作業でもかまいません。総務や経理にある「入力する」という作業も、その1つです。

紙で届く契約書、PDF化は滞っていませんか

下の場面は、よくある形をまとめたたとえです。特定の会社の話ではありません。

全部署共通|紙で届く契約書のPDF化を、在宅の1人が引き取る

総務の担当者は、取引先から紙で届く契約書をスキャンしてPDFにし、保存フォルダへ収める作業を窓口対応の合間に行っています。契約が重なる時期はスキャンする枚数が増え、窓口対応に追われてPDF化が後回しになることがあります。PDF化が遅れると、確認のために原本を探す手間が増え、社内での共有も遅くなってしまいます。担当者としても窓口対応を優先せざるを得ず、スキャンや保存の作業にまとまった時間を取りにくいのが実情です。書類のPDF化だけを在宅の1人に切り出すと、総務担当者は窓口対応に専念でき、契約書もすぐに社内で確認できる状態に整います。必要なのはファイルの整理と保存の基本操作で、扱う内容は契約に関する書類が中心のため機密度は低く、最初の1件として任せやすい業務です。

先ほどの場面にあるとおり、窓口対応は総務担当者が担っている本来の仕事です。契約書をスキャンしてPDFにする作業は、その窓口対応とは別の動きにあたります。同じ人が両方を担っているあいだ、PDF化は窓口対応に押し出され続けます。

月末に集中する領収書のデータ化も、同じ構図です

全部署共通|紙の領収書をデータ化する作業を、在宅の1人が引き取る

経理の担当者は、社員から提出される紙の領収書をスキャンしてデータにし、経費精算のシステムに添付する作業を承認業務の合間に行っています。月末は提出される領収書が一気に増え、データ化が後回しになって未処理の紙が積み上がっていくことがあります。データ化が遅れると、承認の締め切りに間に合わず、精算そのものが翌月にずれ込んでしまうこともあります。担当者としても金額の確認という判断業務を優先したいところですが、その前段階のデータ化に時間を取られています。領収書のデータ化だけを在宅の1人に切り出すと、経理担当者は承認の確認業務に集中でき、月末の処理の遅れも起きにくくなります。必要なのはファイルの整理と保存の基本操作で、扱う内容は経費に関する記録が中心のため機密度は低く、まず任せてみるのに向いています。

部署が違っても、構図は同じです。承認という本来の仕事を担う人がデータ化も兼ねているあいだ、月末が近づくほど未処理の紙は積み上がっていきます。

「入力する」という動きの中に、出社が要る部分と在宅に渡せる部分があります

書類のPDF化・データ化という作業の中心にあるのは、紙の原本をスキャナーで読み取る「入力する」という動きです。原本とスキャナーが手元にないと動けないため、この工程は「出社が要る」札に分類されています。扱う内容は契約や経費に関する書類が中心で、機密度は低に分類されていますが、紙を扱う場面そのものは在宅では完結しません。

ただし、その先の工程は話が別です。同じ全部署共通にある「フォルダへの保存」は「条件つきで在宅」で、スキャン済みのデータさえ受け渡せれば在宅の1人に渡せます。「データ入力」は「出社の条件なし」に分類されています。紙を扱う工程は出社が要る一方、スキャンを終えたあとの保存や入力は在宅に切り出せる形です。

訓練メニューには載っていません。それでも切り出せる理由

在宅の訓練をしている就労移行支援事業所7件の公開ページを確認したところ、ファイルの整理と保存というスキルを教えるメニューは見当たりませんでした。載っていない、という意味であり、教えていないという意味ではありません。この作業は障害者向けを含む求人サイト7件(ハローワークインターネットサービスを含む)の職種カテゴリにも出てきません。高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書は、職務をつくる方法の1つとして、職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する「切り出し・再構成モデル」を挙げています。書類のPDF化・データ化は、この型に当てはまる作業です。

全部署共通にはこの後に任せられる作業も並んでいます

全部署共通という括りには、書類のPDF化・データ化のほかにも、メール・フォームの受付と分類、データ入力、二つの資料の照合、Excel一覧の更新、数値の集計、定型メールの送信、マニュアルへの転記、Webからの情報収集、定例レポートの作成など、機密度が低く訓練メニューにも挙がっている作業が並んでいます。一方で、ファイル名の統一、フォルダへの保存、日程調整、期限前のリマインド、議事録・文字起こしは、今回確認した7事業所の訓練メニューには載っていませんでした(載っていない、という意味であり、教えていないという意味ではありません)。なお、「入力する」という同じ動きの作業は、部署をまたいで46あり、CMS入稿、スキャンとPDF化、仕訳の補助入力なども同じ動きに数えられます。

次にできること

このサイトの計算表(/keisan.html)では、任せたい作業に印を付け、1回あたりの分数と回数を自社の数字で入れると、1週間の合計時間が出ます。障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口という、全国の採用担当者を対象にした厚生労働省の委託事業もあります。業務の選定から定着までの相談が最大5回、オーダーメイドの形で無料で受けられ、申し込みはフォームか電話、相談は対面(訪問)かオンラインで行われています。

書類のPDF化・データ化のデータ

部署全部署共通
動き入力する
機密度低
要るスキルファイルの整理と保存
訓練にあるか⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
つながった訓練メニュー—
在宅の札出社が要る
在宅の条件紙の原本・スキャナー
在宅からつなぐ物表計算・メールなど一般的な道具
見る範囲—
求人サイトでの出現7サイトの職種カテゴリに無い(求人サイトは職種の粒で、作業の粒では分類していない)

同じ全部署共通にある、ほかの作業

作業動き機密度訓練にあるか
メール・フォームの受付と分類受け取る低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 2事業所)
データ入力入力する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
二つの資料の照合照合する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
入力漏れ・誤字脱字の確認入力する・照合する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
Excel一覧の更新整える低⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
数値の集計集計する低⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
ファイル名の統一整える低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
フォルダへの保存整える低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
定型メールの送信連絡する低⭕スキルが訓練に有る=1/7事業所(うち在宅可と明記 0事業所)
日程調整期限を管理する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
期限前のリマインド期限を管理する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
議事録・文字起こし記録する低⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い
マニュアルへの転記入力する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
Webからの情報収集調べる低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
定例レポートの作成集計する低⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)

全部署共通の作業をすべて見る

書類のPDF化・データ化に印を付けて、週の合計時間を数える

公的な相談先

このサイトは一覧を並べるだけで、制度の可否は判断しません。実際に進めるときは、下の公的な窓口で確認してください。

窓口対象できること申込の形
障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け・厚生労働省の委託事業)
twp.mhlw.go.jp
全国の採用担当者業務の選定から定着までの相談。最大5回のオーダーメイド支援。無料申込フォームまたは電話。相談は対面(相談員が訪問)かオンライン
地域障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構)
jeed.go.jp/location/chiiki/
事業主障害者の雇用管理に関する相談・援助。大阪障害者職業センターは「サポートはすべて無料」と明記最寄りのセンターに問い合わせ
ハローワーク事業主職務内容の検討の助言。高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き「職務内容の選定」が相談先に挙げている窓口で相談
高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センターは、職務をつくる方法を3つのモデルで整理しています(調査研究報告書No.133・2017年3月)=切り出し・再構成モデル(職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する)、積み上げモデル(限定的な職務から始めて、時間をかけて幅を広げる)、特化モデル(得意な分野に専念できるようにする)。このサイトの一覧は1つめのモデルの材料です。

出典と調べた日

求人サイト7件と就労移行支援事業所7件の公開ページ(2026-09-19に確認・名前とURLはこのサイトについて)/職務をつくる3つのモデル=障害者職業総合センター調査研究報告書No.133(2026-09-21に確認)/相談先=各窓口の公開ページ(2026-09-21に確認)。

「—」や「訓練に無い」は、調べた公開ページに書かれていなかったという意味で、教えていない・その作業が無いという意味ではありません。

困りごとの原文=高齢・障害・求職者雇用支援機構「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」(公開ページ)(2026-09-21に確認)。