障害者雇用の業務切り出し

人事担当者のための 記録の転記(医療・介護)の切り出し|業種固有の定型入力から在宅の1人へ

このページは、業種固有の定型入力の「記録の転記(医療・介護)」を在宅の1人に任せられないかを考えている人事担当者のためのページです。

テレワーク導入は、遠くにある仕組みではなく、身近な記録から始められないか

障害者雇用の枠はあるのに、応募が来ない、任せる仕事が見当たらない、在宅という働き方も検討したことがない。そんな状態のまま、枠だけが残っていないでしょうか。同じ問いは、テレワーク雇用を考える現場からも寄せられています。

「介護施設利用者への体操指導を、遠隔からオンラインでやっていただける障害者の方をテレワーク雇用したいと考えているのですが、どのようなシステム環境を整備したらよいでしょうか。」
(厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口」の公開ページより)

障害者のテレワーク導入は、システム環境を大きく組み直すことだけを指すわけではありません。医療・介護の現場にある業種固有の定型入力、記録の転記(医療・介護)という「入力する」作業も、その入り口の1つです。

記録の提出が重なる時期、転記は追いついていますか

下の場面は、よくある形をまとめたたとえです。特定の会社の話ではありません。

業種固有の定型入力|記録の提出が重なる時期の記録の転記を、在宅の1人が引き取る

医療・介護の現場で業種固有の定型入力を担当する担当者は、利用者の状態を決まった様式に転記する作業を、利用者の状態把握や対応方針の判断といった判断業務の合間に行っています。記録の提出が重なる時期は転記する件数が増え、判断業務に追われて記録の転記が後回しになることがあります。転記が遅れると、利用者の状態を確認したい時にすぐ参照できなくなることがあります。担当者としても状態把握や対応方針の判断を優先したいところですが、記録の転記にも一定の時間を取られています。転記だけを在宅の1人に切り出すと、担当者は状態把握や対応方針の判断に集中でき、転記の遅れも起きにくくなります。必要なのは文字入力・データ入力の力と聞いた話を文章にする力で、扱う内容には利用者の医療・介護記録といった健康情報が含まれるため、最初の1件には向きません。社内の権限設計とアクセス制限を整えたうえで、範囲を限って切り出す作業です。

先ほどの場面にあるとおり、利用者の状態把握や対応方針の判断は担当者が担っている本来の仕事です。利用者の状態を決まった様式に転記する作業は、その判断業務とは別の動きにあたります。同じ人が両方を担っているあいだ、転記作業は判断業務に押し出され続けます。

複数の利用者分の転記も、同じ構図です

業種固有の定型入力|複数の利用者分の記録の転記を、在宅の1人が引き取る

複数の利用者の記録を転記している、医療・介護の現場で業種固有の定型入力を担当する担当者は、利用者ごとに記録の書き方が違う中で対応しており、利用者の数が多い分だけ転記する件数も増えていきます。状態把握や対応方針の判断と重なると転記が後回しになり、利用者によって転記の精度がそろわないまま残ってしまうこともあります。精度がそろわないと、現場の担当者が内容をあとから確認し直すことになります。利用者が増えるほど、記録の転記が重くなっていきます。転記をまとめて在宅の1人に任せると、担当者は状態把握や対応方針の判断に専念でき、利用者をまたいで整った精度でそろいます。必要なのは文字入力・データ入力の力と聞いた話を文章にする力で、扱う内容には利用者の医療・介護記録といった健康情報が含まれるため、最初の1件には向きません。社内の権限設計とアクセス制限を整えたうえで、対象をさらに絞って切り出す作業です。

利用者が違っても、構図は同じです。状態把握や対応方針の判断という本来の仕事を担う人が転記も兼ねているあいだ、利用者が増えるほど転記という作業そのものは重くなっていきます。

切り出せるのは「入力する」という1つの動きです

記録の転記(医療・介護)という作業を分解すると、必要なのは文字入力・データ入力の力と、聞いた話を文章にする力です。扱う内容には利用者の状態という医療・介護に関する情報が含まれるため、機密度は高に分類されています。状態把握や対応方針の判断は担当者の手元に残したまま、転記という動きだけを在宅の1人に切り出す形です。この作業の説明には紙のやり取りやスキャン、電話、名刺交換、会議への出席は含まれていないため、在宅でも進められる作業に位置づけられますが、扱う内容の重さから、社内の権限設計とアクセス制限を整えたうえで対象を絞って任せる作業になります。在宅からは表計算やメールといった一般的な道具を使って、転記を行います。

文字入力・データ入力を教えている訓練は、すでにあります

在宅の訓練をしている就労移行支援事業所7件の公開ページを確認したところ、文字入力・データ入力のスキルを教えるメニューは3事業所にあり、うち1事業所は在宅で受けられると明記されていました。メニュー名には、タイピング甲子園、パソコン入力作業訓練、個別学習(タイピング)、実務トレーニング(データ入力など)といった名前が並んでいます。教えているのは文字入力・データ入力というスキルであり、記録の転記そのものを教えているわけではありません。この作業は障害者向けを含む求人サイト7件(ハローワークインターネットサービスを含む)の職種カテゴリにも出てきません。高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書は、職務をつくる方法の1つとして、職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する「切り出し・再構成モデル」を挙げています。記録の転記(医療・介護)は、この型に当てはまる作業です。

業種固有の定型入力にはこの後に任せられる作業も並んでいます

業種固有の定型入力には、記録の転記(医療・介護)のほかにも、物件登録(不動産)と間取図の登録(不動産)が機密度は低で並んでおり、どちらも訓練メニューにスキルが挙がっています。申請書の下書き(士業)は機密度が中で、要るスキルが会社によって違うため、今回は訓練の有無を判定していません。作業によって機密度と訓練の有無は違い、同じように切り出せるとは限りません。なお、「入力する」という同じ動きの作業は、部署をまたいで46あり、CMS入稿、Web・ブログの記事登録、キャンペーン登録、スキャンとPDF化、データ入力、マニュアルへの転記、仕訳の補助入力、修了証作成なども同じ動きに数えられます。

次にできること

このサイトの計算表(/keisan.html)では、任せたい作業に印を付け、1回あたりの分数と回数を自社の数字で入れると、1週間の合計時間が出ます。障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口という、全国の採用担当者を対象にした厚生労働省の委託事業もあります。業務の選定から定着までの相談が最大5回、オーダーメイドの形で無料で受けられ、申し込みはフォームか電話、相談は対面(訪問)かオンラインで行われています。

記録の転記(医療・介護)のデータ

部署業種固有の定型入力
動き入力する
機密度
要るスキル文字入力・データ入力/聞いた話を文章にする
訓練にあるか⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
つながった訓練メニュー文字入力・データ入力←タイピング甲子園/文字入力・データ入力←パソコン入力作業訓練/文字入力・データ入力←個別学習(タイピング)/文字入力・データ入力←実務トレーニング(データ入力など)
在宅の札在宅作業可能
在宅の条件
在宅からつなぐ物表計算・メールなど一般的な道具
見る範囲利用者の状態(医療・介護)(機密度 高)
求人サイトでの出現7サイトの職種カテゴリに無い(求人サイトは職種の粒で、作業の粒では分類していない)

同じ業種固有の定型入力にある、ほかの作業

作業動き機密度訓練にあるか
物件登録(不動産)入力する⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
間取図の登録(不動産)入力する⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所)
申請書の下書き(士業)入力する❓要るスキルがまだ決まっていない

業種固有の定型入力の作業をすべて見る

記録の転記(医療・介護)に印を付けて、週の合計時間を数える

公的な相談先

このサイトは一覧を並べるだけで、制度の可否は判断しません。実際に進めるときは、下の公的な窓口で確認してください。

窓口対象できること申込の形
障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け・厚生労働省の委託事業)
twp.mhlw.go.jp
全国の採用担当者業務の選定から定着までの相談。最大5回のオーダーメイド支援。無料申込フォームまたは電話。相談は対面(相談員が訪問)かオンライン
地域障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構)
jeed.go.jp/location/chiiki/
事業主障害者の雇用管理に関する相談・援助。大阪障害者職業センターは「サポートはすべて無料」と明記最寄りのセンターに問い合わせ
ハローワーク事業主職務内容の検討の助言。高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き「職務内容の選定」が相談先に挙げている窓口で相談
高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業総合センターは、職務をつくる方法を3つのモデルで整理しています(調査研究報告書No.133・2017年3月)=切り出し・再構成モデル(職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する)、積み上げモデル(限定的な職務から始めて、時間をかけて幅を広げる)、特化モデル(得意な分野に専念できるようにする)。このサイトの一覧は1つめのモデルの材料です。

出典と調べた日

求人サイト7件と就労移行支援事業所7件の公開ページ(2026-09-19に確認・名前とURLはこのサイトについて)/職務をつくる3つのモデル=障害者職業総合センター調査研究報告書No.133(2026-09-21に確認)/相談先=各窓口の公開ページ(2026-09-21に確認)。

「—」や「訓練に無い」は、調べた公開ページに書かれていなかったという意味で、教えていない・その作業が無いという意味ではありません。

困りごとの原文=厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口」(公開ページ)(2026-09-21に確認)。