人事担当者のための 証跡の保存の切り出し|品質管理・コンプライアンス事務から在宅の1人へ
このページは、品質管理・コンプライアンス事務の「証跡の保存」を在宅の1人に任せられないかを考えている人事担当者のためのページです。
切り出す仕事が見当たらないなら、機密度の高い作業も一度分けてみないか
障害者雇用の枠はあるのに、応募が来ない、任せる仕事が見当たらない、障害者のテレワーク導入を考えたこともない。そんな状態のまま、枠だけが残っていないでしょうか。現場からは、こんな声が上がっています。
「障害のある人向けに切り出す仕事がない」
(厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口」の公開ページより)
任せる仕事は、機密度の低い作業だけとは限りません。品質管理・コンプライアンス事務にある「証跡を整える」という作業も、切り出しの検討に値する仕事の1つです。
証跡の提出が重なる時期、保存は追いついていますか
品質管理・コンプライアンス事務|証跡の提出が重なる時期の証跡の保存を、在宅の1人が引き取る
品質管理・コンプライアンス事務の担当者は、必要な証跡をファイルに整理して保存する作業を、重大な事案の判断や是正の検討といった判断業務の合間に行っています。証跡の提出が重なる時期は保存する件数が増え、判断業務に追われて証跡の保存が後回しになることがあります。保存が遅れると、必要な時にすぐ取り出せなくなることがあります。担当者としても重大な事案の判断や是正の検討を優先したいところですが、証跡の保存にも一定の時間を取られています。保存だけを在宅の1人に切り出すと、担当者は重大な事案の判断や是正の検討に集中でき、保存の遅れも起きにくくなります。必要なのはファイルの整理と保存の力で、扱う内容にはコンプライアンス上の証跡といった機微な情報が含まれるため、最初の1件には向きません。社内の権限設計とアクセス制限を整えたうえで、範囲を限って切り出す作業です。
先ほどの場面にあるとおり、重大な事案の判断や是正の検討は品質管理・コンプライアンス事務の担当者が担っている本来の仕事です。証跡をファイルに整理して保存する作業は、その判断業務とは別の動きにあたります。同じ人が両方を担っているあいだ、証跡の保存は判断業務に押し出され続けます。
複数部署から届く証跡、形式はそろっていますか
品質管理・コンプライアンス事務|複数部署分の証跡の保存を、在宅の1人が引き取る
複数の部署から証跡が届く品質管理・コンプライアンス事務の担当者は、部署ごとに提出のタイミングが違う中で対応しており、部署の数が多い分だけ保存する件数も増えていきます。重大な事案の判断や是正の検討と重なると保存が後回しになり、部署によって保存の形式がそろわないまま残ってしまうこともあります。形式がそろわないと、あとから必要な証跡を探し出せないこともあります。部署が増えるほど、証跡の保存が重くなっていきます。証跡の保存をまとめて在宅の1人に任せると、品質管理・コンプライアンス事務の担当者は重大な事案の判断や是正の検討に専念でき、保存も部署をまたいで整った形式でそろいます。必要なのはファイルの整理と保存の力で、扱う内容にはコンプライアンス上の証跡といった機微な情報が含まれるため、最初の1件には向きません。社内の権限設計とアクセス制限を整えたうえで、対象をさらに絞って切り出す作業です。
部署が違っても、構図は同じです。重大な事案の判断や是正の検討を担う人が証跡の保存も兼ねているあいだ、部署の数が多いほど保存する件数は増え、形式もそろいにくくなっていきます。
切り出せるのは「整える」という1つの動きです
証跡の保存という作業を分解すると、必要なのはファイルの整理と保存という基本のスキルです。見る範囲はコンプライアンス上の証跡に限られますが、機密度は高に分類されており、最初の1件としてではなく、社内の権限設計とアクセス制限を整えたうえで範囲を限って切り出す作業です。重大な事案の判断や是正の検討は担当者の手元に残したまま、保存するという動きだけを在宅の1人に渡す形です。在宅からは表計算・メールなど一般的な道具を使って進める形で、作業の説明には出社が前提になる部分は書かれていません。
訓練メニューには載っていません。それでも切り出せる理由
在宅の訓練をしている就労移行支援事業所7件の公開ページを確認したところ、ファイルの整理と保存というスキルを教えるメニューは見当たりませんでした。載っていない、という意味であり、教えていないという意味ではありません。品質管理・コンプライアンス事務という部署名は、障害者向けを含む求人サイト7件(ハローワークインターネットサービスを含む)のうち1件の職種カテゴリと一致します。ただし「証跡の保存」という作業名まで一致しているわけではありません。高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書は、職務をつくる方法の1つとして、職場にある定型反復的な作業を探し出し、切り出して再構成する「切り出し・再構成モデル」を挙げています。証跡の保存は、この型に当てはまる作業です。
品質管理・コンプライアンス事務にはこの後に任せられる作業も並んでいます
品質管理・コンプライアンス事務という部署には、証跡の保存のほかにも、点検結果の入力、不備・未提出一覧など、機密度が低く訓練メニューにも挙がっている作業が並んでいます。研修受講記録や許認可・資格の更新期限は機密度が低い一方、今回確認した7事業所の訓練メニューには載っていませんでした(載っていない、という意味であり、教えていないという意味ではありません)。チェックリスト回収は在宅の条件が必要な作業で、マニュアルの版管理や規程改定履歴は要るスキルが会社によって違うため、今回は訓練の有無を判定していません。事故・クレーム情報の分類や監査資料の整理は、証跡の保存と同じく機密度が高い作業です。作業によって機密度と訓練の有無は違い、同じように切り出せるとは限りません。なお、「整える」という同じ動きの作業は、部署をまたいで62あり、Excel一覧の更新、FAQの更新、KPI管理表なども同じ動きに数えられます。
次にできること
このサイトの計算表(/keisan.html)では、任せたい作業に印を付け、1回あたりの分数と回数を自社の数字で入れると、1週間の合計時間が出ます。障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口という、全国の採用担当者を対象にした厚生労働省の委託事業もあります。業務の選定から定着までの相談が最大5回、オーダーメイドの形で無料で受けられ、申し込みはフォームか電話、相談は対面(訪問)かオンラインで行われています。
証跡の保存のデータ
| 部署 | 品質管理・コンプライアンス事務 |
|---|---|
| 動き | 整える |
| 機密度 | 高 |
| 要るスキル | ファイルの整理と保存 |
| 訓練にあるか | ⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い |
| つながった訓練メニュー | — |
| 在宅の札 | 在宅作業可能 |
| 在宅の条件 | — |
| 在宅からつなぐ物 | 表計算・メールなど一般的な道具 |
| 見る範囲 | 証跡(機密度 高) |
| 求人サイトでの出現 | 部署名が1/7サイトの職種カテゴリに一致(作業名は一致なし) |
同じ品質管理・コンプライアンス事務にある、ほかの作業
| 作業 | 動き | 機密度 | 訓練にあるか |
|---|---|---|---|
| チェックリスト回収 | 受け取る・照合する | 低 | ⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い |
| 点検結果の入力 | 入力する・照合する | 低 | ⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所) |
| 不備・未提出一覧 | 照合する | 低 | ⭕スキルが訓練に有る=2/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所) |
| マニュアルの版管理 | 整える | 低 | ❓要るスキルがまだ決まっていない |
| 研修受講記録 | 記録する | 低 | ⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い |
| 許認可・資格の更新期限 | 整える・期限を管理する | 低 | ⛔要るスキルが7事業所の訓練メニューに無い |
| 事故・クレーム情報の分類 | 分類する | 高 | ❓要るスキルがまだ決まっていない |
| 監査資料の整理 | 整える | 高 | ⭕スキルが訓練に有る=3/7事業所(うち在宅可と明記 1事業所) |
| 規程改定履歴 | 記録する | 低 | ❓要るスキルがまだ決まっていない |
公的な相談先
このサイトは一覧を並べるだけで、制度の可否は判断しません。実際に進めるときは、下の公的な窓口で確認してください。
| 窓口 | 対象 | できること | 申込の形 |
|---|---|---|---|
| 障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け・厚生労働省の委託事業) twp.mhlw.go.jp |
全国の採用担当者 | 業務の選定から定着までの相談。最大5回のオーダーメイド支援。無料 | 申込フォームまたは電話。相談は対面(相談員が訪問)かオンライン |
| 地域障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構) jeed.go.jp/location/chiiki/ |
事業主 | 障害者の雇用管理に関する相談・援助。大阪障害者職業センターは「サポートはすべて無料」と明記 | 最寄りのセンターに問い合わせ |
| ハローワーク | 事業主 | 職務内容の検討の助言。高齢・障害・求職者雇用支援機構の手引き「職務内容の選定」が相談先に挙げている | 窓口で相談 |
出典と調べた日
求人サイト7件と就労移行支援事業所7件の公開ページ(2026-09-19に確認・名前とURLはこのサイトについて)/職務をつくる3つのモデル=障害者職業総合センター調査研究報告書No.133(2026-09-21に確認)/相談先=各窓口の公開ページ(2026-09-21に確認)。
「—」や「訓練に無い」は、調べた公開ページに書かれていなかったという意味で、教えていない・その作業が無いという意味ではありません。
困りごとの原文=厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口」(公開ページ)(2026-09-21に確認)。