障害者雇用の業務切り出し

人事担当者のための

切り出した作業の量を見積もる。分数と回数を入れて足し上げる手順と、合算の道具

作業の名前を並べたあとに出てくるのは、「それで、量はどのくらいになるのか」という問いです。このページは、その量を自社の数字で足し上げて見積もる手順を説明します。「何分なら妥当」「この量なら足りる」といった答えは、このページにはありません。入れる数字は、自社でかかる分数と、その作業を行う回数の2つだけです。足し算の道具として、在宅で切り出せる事務作業224件に印を付けて使う計算表があります。

1、作業を並べたあとに出る問い

高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下、機構)の「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」には、職務内容の選定について、企業の声が載っています。

「どのような仕事をしてもらったらいいかわからない」

同じQ&Aの答えの見出しは、次のとおりです。

「社内にある職務内容やそれらの職務に求められるスキルなどについて詳細に確認し、職務内容を創出していくとよいでしょう。」

確認の対象は、社内にある職務内容と、その職務に求められるスキルです。作業の名前を並べるのは、この確認の入口にあたります。並べ終えた段階では、作業の名前が見えているだけで、量はまだ見えにくいままです。

機構の「障害者雇用事例リファレンスサービス」には、量や広がりを課題として書いた事例があります。製造業・社員数1,183人の事例は、今後の課題にこう書いています。

「担当業務の拡大・作業量の確保も重要と考えられ、具体的に検討していく必要があると考えている」

サービス業・社員数28人の事例の今後の展望と課題には、次の文があります。

「現状においては、チャレンジドの従事業務が限定的であり、新規業務の開拓が重要な課題の一つであると考えている。」

どちらの事例も、課題として挙げているのは、業務の幅と作業量です。このページは、そのうち作業量を、自社の数字で見積もるところを扱います。

2、足し上げる5つの手順

手順は5つです。道具は計算表で、画面の上に「印を付けた作業」の件数と「週の合計」が出ます。

手順やること
1、作業に印を付ける224作業から、自社にある作業に印を付けます。
2、1回の分数を入れるその作業を1回行うのにかかる分数を、自社の実際の数で入れます。
3、回数を選ぶ毎日(週5回)、週3回、週2回、週1回、月2回、月1回の6つから選びます。
4、月の回数を週に直す月2回と月1回は、週あたりの回数に直してから掛けます。計算表が自動で直します。
5、足し上げる作業ごとの「週あたりの分数」を足します。計算表の上に合計が出ます。

作業ごとのページには、その作業にあらかじめ印が付いた状態で計算表を開くリンクがあります。たとえば次の4作業のページです。

各ページにある「(作業名)に印を付けて、週の合計時間を数える」の形のリンクから、計算表のその作業の行に飛びます。

3、分数は、自社でかかる数を入れる

このサイトは、分数を入れていません。分数の相場や平均を載せると、自社の数ではない数が合計に混ざるためです。計算表の分数の欄は、最初は空で、入れた数だけが合計に入ります。

計算表がしている計算は、「1回の分数」×「週あたりの回数」だけです。このため、「1回」をどの単位でとるかは、入れる側が決める部分です。たとえば1日に2度行う作業は、1回を1日分ととれば、「毎日(週5回)」で足せます。「毎日」は週5回として数える選択肢なので、土日にも行う作業の週7回は、選択肢にありません。

選べる回数は6つです。これ以外の回数(隔週など)は、計算表の選択肢にないため、計算表の中で直接入れることはできません。

一覧にある224作業は、在宅で切り出せる事務作業を、25の部署に分けて並べたものです。自社にある作業が一覧に無ければ、計算表の行はありません。一覧にある作業が自社に無ければ、印を付けません。

4、月の回数を週に直す

毎日(週5回)、週3回、週2回、週1回は、すでに「週あたり」の回数です。月2回と月1回は「月あたり」なので、同じ合計に足すには、週あたりに直す必要があります。直し方は、1年を12か月と52週で割るだけです。

1か月を4週と置くと、12か月で48週になり、1年52週と合いません。計算表は、1年を52週として割っています。計算表の内部では0.4615と0.2308の4桁の数を使うため、手で割り算した値と1分未満の差が出ることがあります。

5、例の数で足し上げる

次の数字は、計算のやり方を示す例です。実在の会社の数でも、標準の数でもありません。一覧にある特定の作業の分数でもありません。

作業1回の分数回数週あたりの回数週あたりの分数
作業A30分毎日(週5回)530×5=150分
作業B20分週3回320×3=60分
作業C90分月2回約0.4690×2×12÷52=約42分(41.5分を丸めた)

作業Aと作業Bだけなら、150+60=210分で、週あたり3時間30分です。作業Cを加えると、210+41.5=251.5分、つまり4時間11.5分になります。計算表では、表示が分の単位に丸められるため、この組み合わせは「4時間12分」と出ます。

作業Cのように月に2回の作業でも、1回が長ければ、週に直すと数十分になります。1回の長さが同じなら、月1回は月2回の半分です。月の作業を週の作業と同じ物差しに乗せることが、手順4の役割です。

入れた分数と回数は、お使いのブラウザに残る作りで、別のブラウザや別の端末には引き継がれません。

6、足し上げたあとに確認すること

合計は、入れた数の足し算です。出た合計が、自社の数でできているかどうかは、数字を入れた人にしか確かめられません。

機構のQ&Aは、採用計画の答えの見出しで、次のように述べています。

「社内の共通認識を得た上で進めることが必要です」

この共通認識を作る場面で、合計は材料の1つになります。受け入れる部署に見せられるのは、計算表の画面に出ている、印を付けた作業の件数と合計、そして作業ごとの欄(在宅の札、機密度)です。札は作業の説明の中身だけで決めた区分で、社内の情報管理の決まりやシステムのつなぎ方によって、在宅にできるかどうかは会社ごとに変わります。

合計が答えない問いもあります。機構のQ&Aにある、次の企業の声です。

「専門的な知識が必要な仕事が多いが大丈夫だろうか」

計算表の合計は、量を足したものであり、作業の難しさや必要なスキルを示すものではありません。作業ごとのスキルは、作業ごとのページで確かめる形になります。

障害者職業総合センターの調査研究報告書No.133『精神障害者及び発達障害者の雇用における職務創出支援に関する研究』(2017年3月)は、職務をつくる方法を「切り出し・再構成モデル」「積み上げモデル」「特化モデル」の3つで整理しています。このうち積み上げモデルについて、報告書は、雇用を始める時点では既存の職務から作業を切り出して限定的な職務を担当し、そこから作業を次第に積み上げていく方法だと説明しています。計算表の合計は、いま印を付けた作業の足し算です。積み上げた先の量を見積もるものではありません。

7、公的な相談先

厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け)」の、よくある質問には、次のように載っています。

この窓口の内容や、相談できる範囲は、このサイトでは判断しません。厚生労働省の公開ページの原文で確かめる形になります。

8、次に見るページ

9、出典と調べた日