障害者雇用の業務切り出し

人事担当者のための

障害者雇用の業務切り出しシートは、どこから書き始めるか

「業務切り出しシート」を探している人事担当者は、書式が見つからなくて止まっているとは限りません。1行目に何を書くかで止まっている場合があります。このページは、書式を配るものではありません。シートの1行に何を書くかを、在宅で切り出せる事務作業224件の欄から説明します。

1、シートの形より先に、1行に何を書くかで止まる

厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け)」のページでは、企業の困りごととして、最初に「法定雇用率を達成できない」が挙がっています。同じ一覧に、次の言葉もあります。

「障害のある人向けに切り出す仕事がない」

高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下、機構)の「はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~」には、企業の声として次の2つが載っています。

「どのような仕事をしてもらったらいいかわからない」
「専門的な知識が必要な仕事が多いが大丈夫だろうか」

雇ったあとの課題を書いた事例もあります。機構の「障害者雇用事例リファレンスサービス」にある、サービス業・社員数8人の事例の課題には、こうあります。

「新たに障がい者を雇用しても、配属後のフォローができずに現場任せになってしまっているという課題があった」

サービス業・社員数28人の事例は、今後の課題にこう書いています。

「チャレンジドの従事業務が限定的であり、新規業務の開拓が重要な課題の一つであると考えている」

どの言葉も、書式の話ではなく、任せる仕事の話です。

2、公的機関が示している進め方

職務内容の選び方を、機構のQ&Aは次の見出しで答えています。

「社内にある職務内容やそれらの職務に求められるスキルなどについて詳細に確認し、職務内容を創出していくとよいでしょう。」

確認の対象は、社内にある職務内容と、その職務に求められるスキルです。職務内容を創出していくのは、その確認のあとという順番になっています。このサイトは、職種名ではなく作業の名前の単位で224件を並べています。「経理」「採用」といった職種名のままでは、何を任せるのかが見えません。

機構の事例リファレンスサービスには、題に「業務の可視化を進め、業務への理解を深めることで定着を図る」とある事例もあります(サービス業・社員数26人)。

3、シートの1行は、2つの半分でできている

このサイトは、在宅で切り出せる事務作業を224件、25の部署に並べています。作業ごとのページに載せている欄と、載せていない欄を分けると、シートの1行は次の2つの半分になります。

半分欄誰が埋めるか
サイトが先に埋めてある作業の名前/動き(入力する・照合する など)/必要なスキル/機密度(低・中・高)/在宅の札/在宅の条件/在宅からつなぐ物/見る範囲224件それぞれの作業ページに載っている
社内でしか埋まらない1回の分数と、週または月の回数/判断と承認を社内のだれに残すか/つなぐ先の社内のシステムが在宅から使えるか/受け入れる部署の名前人事担当者が、自社の数字と事情で埋める

サイトが埋めてある半分の実物を、4行だけ並べます。

作業の名前(部署)動き必要なスキル機密度在宅の札在宅の条件つなぐ物見る範囲
請求書データの入力(経理補助)入力する文字入力・データ入力低出社の条件なし—社内のシステム—
履歴書のファイル整理(採用事務)整える・記録するファイルの整理と保存中出社の条件なし—表計算・メールなど一般的な道具個人情報など(機密度 中)
議事録・文字起こし(全部署共通)記録する聞いた話を文章にする低条件つきで在宅会議へのオンライン参加表計算・メールなど一般的な道具—
書類のPDF化・データ化(全部署共通)入力するファイルの整理と保存低出社が要る紙の原本・スキャナー表計算・メールなど一般的な道具—

「—」は、その作業ページに載っていないという意味です。3行目と4行目のように、条件つきの作業や、出社が要る作業も、この一覧は外していません。

ここから持ち帰れる手順は、自社の作業に印を付ける、サイトが埋めた欄を写す、社内でしか埋まらない欄だけ自分で埋める、計算表で週の合計時間を出す、の4つです。このサイトが用意しているのは、社内で話を始めるための材料で、業務の棚卸しや切り出しを代わりに行うものではありません。

4、機密度と「見る範囲」で、判断を社内に残す線を引く

機密度は224件のうち、低が169件、中が44件、高が11件です。機密度が中以上の作業には、「見る範囲」の欄に何を扱うかが入ります。

履歴書のファイル整理は、機密度が中で、見る範囲は「個人情報など(機密度 中)」です。この作業ページには、判断と承認は社内の担当者に残し、整理・保存の作業だけを在宅の1人に切り出す形、という趣旨が書かれています。請求書データの入力は、機密度が低で、見る範囲の欄は空です。

同じ「入力する」「整える」でも、扱う中身によって、社内に残す判断の量は変わります。ただし、判断と承認を社内のだれに残すかは、サイトが埋められる欄ではありません。社内の半分に入るため、人事担当者が自社の事情で決めることになります。

機構のQ&Aは、採用計画の答えの見出しで次のように述べています。

「社内の共通認識を得た上で進めることが必要です」

シートの「受け入れる部署の名前」と「判断と承認を社内のだれに残すか」の2つの欄は、その共通認識を作る場面で、受け入れる部署や経営に見せる材料になる欄です。

5、量を数える

作業を選んだあとは、どのくらいの量になるかという問いが出ます。機構の事例リファレンスサービスにある、製造業・社員数1,183人の事例は、今後の課題として次のように書いています。

「担当業務の拡大・作業量の確保も重要と考えられ、具体的に検討していく必要があると考えている」

計算表は、印を付けた作業に、1回の分数と回数を入れると、週の合計時間を足し上げます。回数は、毎日(週5回)、週3回、週2回、週1回、月2回、月1回から選びます。月の回数は、12か月を52週で割って週あたりに直しています(月2回は週あたり約0.46回、月1回は約0.23回)。

次の数字は、計算のやり方を示す例です。実在の会社の数ではありません。

分数と回数は会社によって違うため、このサイトは入れていません。人数や雇用率の計算も、このサイトでは行いません。

6、在宅にできるかは、会社ごとに変わる

テレワークについては、厚生労働省の委託事業の無料相談窓口のお役立ち情報に、こんな言葉が載っています。

「ただでさえ障害者雇用は難しそうなのに、テレワークだともっと難しいのは?」

この問いに、このサイトは答えを持っていません。言い切れるのは、作業ごとに分けて見られる、というところまでです。在宅の札は、出社の条件なしが205件、条件つきで在宅が15件、出社が要るが4件です。「在宅からつなぐ物」は、表計算・メールなど一般的な道具が171件、社内のシステムが27件です。

この札は、作業の説明の中身だけで付けています。社内の情報管理の決まり、システムへのつなぎ方、端末、見守り方によって、在宅にできるかどうかは会社ごとに変わります。つなぐ先の社内のシステムが在宅から使えるかは、社内でしか確かめられない欄です。

7、公的な相談先

業務の選定から相談できる窓口に、厚生労働省の委託事業「障害者のテレワーク雇用に関する無料相談窓口(企業向け)」があります。よくある質問には、次のように載っています。

制度の内容や可否は、このサイトでは判断しません。厚生労働省と機構の原文で確かめる形になります。

8、次に見るページ

9、出典と調べた日